Case Report 1


カナリアに見られた脚端部の腫脹

個体情報
レモンカナリア(Serinus canaria) 5才以上
市販のカナリアの餌を主食として、コマツナ、チンゲンサイ等の緑黄色野菜を副食としています。
ビタミン剤は使用していません。
主訴
一年ほど前から右足が腫れていたが、ここ数日で著しく腫れて、痛がるようになった。
所見
ハバキ(脚鱗の角化亢進)が激しく、足輪がフショに食い込んでしまっています。
足輪の先が赤く腫れ上がっており、指先の色が青黒くなり始めています。
全身状態は良好ですが、かなり肥満しており、腹部には「脂肪腫」が見られました。
肥満であるにもかかわらず、筋肉は痩せており、甲状腺機能低下なども疑われます。
処置
足輪の切断。
写真は切断後の様子。拘ヤク部の皮膚(鱗)は切断時に剥がれてしまう為、出血の危険が伴う。
 
コメント

カナリアの足輪による事故

カナリアの来院理由で最も多いのが、この足輪による拘束です。
カナリアは年を取ると、ほとんどの個体で、足の鱗が分厚く突出し、「ハバキ」という状態になります。
これは皮膚の角化が異常に亢進するためです。
ハバキは老化の一つではありますが、悪化させる要因としてビタミンA(VA)の欠乏症が考えられます。

このハバキの増盛自体は害を及ぼすことが少ないのですが、
足輪をしているとなると別です。

足が太くなっても、足輪は大きくなりませんから、足輪の部分で拘束が生じてしまうのです。
その結果、血行が阻害され、浮腫が生じます。
浮腫が生じて腫れると、さらに血行が阻害されますので余計腫れる事になります。
このようにして、急速に足は腫れていき、最終的には指先にまったく血が通わなくなり、
足先が死んで落ちてしまいます。

今回の症例では、発見が早かったため、足先が落ちるようなことは無いと思いますが、
もう少し遅かったら分かりません。

また、足輪を取る際に出血したり、足が折れてしまう危険もあります。

いずれにしても、
「ハバキ」が出始めたら要注意です。
足輪がきつくなる前に除去するべきです。

足輪の装着の是非

ペットショップから購入してきたカナリアには必ずといって良いほど足輪が付いています。
はたして、足輪はカナリアの健康に必要なものでしょうか?

恐らく、ブリーディングに関連した目的で装着されていると考えられますが、 愛玩用に販売されているカナリアには 医学的に見て必要性は有りません。

愛玩用として飼育する場合、お家に迎えた後、健康診断を兼ねて病院ではずしてもらうことをお勧めします。
ただ、個体の証明として使用することがあるかも知れませんので、装着時の写真と、除去した足輪を保管して置くのが無難です。

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